論理関数とは、ある条件が満たされているか判断するための関数です。結果は基本的に「TRUE(真)」や「FALSE(偽)」で返され、単独で使用することもその他の関数と組み合わせて使うこともできるので、用途が広いのが特徴です。
本記事では、論理関数のひとつである「AND関数」について解説します。便利な活用法や事例にも触れるので、参考にしてみましょう。
ExcelのAND関数の基本概要
AND関数とは、指定した全ての条件を満たしているか調べる関数です。全ての条件を満たしていれば「TRUE(真)」、ひとつでも条件を満たしていなければ「FALSE(偽)」と結果を表示します。
例えば、A列の値が10以上20未満であるかどうかを調べたい場合、AND関数を使用するのが便利です。「TRUE(真)」であれば10以上20未満、「FALSE(偽)」であれば10未満または20以上であると判断できます。
AND関数の書式
AND関数は、「=AND (logical1, [logical2], …)」で表せます。「logical1」はTRUEまたはFALSEとして評価できるテスト対象1つ目の条件を入力する部分であり、「論理式1」として必須項目となっています。「logical2」は省略可能ですが、「logical3」「logical4」…と最大255個の条件まで追加できます。いずれもTRUEまたはFALSEとして評価できるテスト対象となっている必要があります。
引数として指定した配列や参照に文字列または空白セルが含まれる場合、これらの値は無視される点に注意しましょう。もし指定した範囲に論理値が含まれていない場合、「#VALUE!」(エラー表示)が返されます。
AND関数の使い方
【1】AND関数では、顧客の年齢が指定範囲に合致するかなど、一定条件を満たすセルを抽出するのに便利です。顧客データと年齢データを用意したExcelに、「AND関数」の列を用意します。
「=AND(B2>=20,B2<=30)」で「20歳以上から30歳以下」を示す条件となり、20~30歳の人に「TRUE」が入力されます。
【2】同様の関数を他のセルにコピー&ペーストすることで、TRUEかFALSEかチェックできます。「20歳以上から30歳未満」としたいときは「=AND(B2>=20,B2<30)」を、「20歳未満から30歳未満」としたいときは「=AND(B2>20,B2<30)」を入力するなど、「=」の有無によって使い分けることも可能です。
論理関数一覧: AND, OR, IF, NOT
「AND関数」の他にも、論理関数として「OR関数」「IF関数」「NOT関数」が挙げられます。主な違いは以下の通りです。
関数 | 基本構文 | 内容 |
AND関数 | =AND (logical1, [logical2], …) | 論理式1と論理式2をどちらも全て満たすものがTRUE |
OR関数 | =OR (logical1, [logical2], …) | 論理式1または論理式2を満たすものがTRUE |
IF関数 | =IF (logical1, [logical2], …) | 論理式を満たしているものがTRUE |
NOT関数 | =NOT (logical1, [logical2], …) | 論理式1および論理式2ではないものがTRUE |
いずれも指定条件を満たしているか調べるための関数であり、構文も似ていますが、TRUEとなる条件に違いがあるので注意しましょう。AND関数が「論理式1なおかつ論理式2」、ORが「論理式1または論理式2」、NOT関数が「論理式1でも論理式でもないもの」と覚えるのが近道です。
IF関数は、論理式を満たしているものをTRUEとして表示するという点でAND関数と似ています。論理式がひとつであればAND関数と同様の使い方ができますが、IF関数であれば指
定した条件を満たしている時と満たしていない時で異なる値を表示させることが可能です。
OR関数の使い方
OR関数とは、論理式1または論理式2を満たすものがTRUEとなる関数です。「=OR (logical1, [logical2], …)」で示します。
「=OR(B2>=40,B2<=30)」で、40歳以上または30歳以下となる人をTRUEとして表示します。つまり、30代だけが「FALSE」となり、それ以外は全て「TRUE」となります。
IF関数の使い方
IF関数とは、論理式を満たしているものがTRUEとなる関数です。「=IF (logical1, [logical2], …)」で示しますが、TRUEもFALSEも指定した文字列で表記できるので、特定の条件を満たすセルにだけ「〇」をつけるなどアレンジしながら使えるのが特徴です。
「=IF(B2>=40,”○”,””)」で、「40歳以上であれば〇を返す」という意味になります。TRUEとFALSEの表記が混ざってわかりにくくなってしまうときや、指定条件に合致するセルだけをわかりやすくピックアップしたいときに便利です。
NOT関数の使い方
NOT関数とは、論理式1および論理式2ではないものがTRUEとなる関数です。「=NOT (logical1, [logical2], …)」で示します。
「=NOT(B2>=40)」の場合、40歳以下でない人をTRUEとして返します。つまり、39歳まではTRUE、40歳以上であればFALSEとなります。
よくある質問
ExcelのAND関数に関して「よくある質問」を紹介します。
AND関数で<>はどうなる?
AND関数など、論理関数で使う「<(小なり)」や「>(大なり)」などの記号は「論理式」と呼ばれています。論理式には他にも「=(等しい)」などがあり、組み合わせ次第で以下の通り条件を指定できます。
論理式 | 意味 | 説明 |
A1=10 | 等しい | A1の値が10の場合にTRUE |
A1<>10 | 等しくない | A1の値が10以外の場合にTRUE |
A1<10 | 小さい | A1の値が10よりも小さい場合にTRUE |
A1>10 | 大きい | A1の値が10よりも大きい場合にTRUE |
A1<=10 | 以下 | A1の値が10以下の場合にTRUE |
A1>=10 | 以上 | A1の値が10以上の場合にTRUE |
「=」(等号)や「>」「<」(不等号)などの記号を組み合わせることで、さまざまな論理式を作成できます。論理式を満たす場合は「TRUE」、満たさない場合は「FALSE」となって返されるので、ソート機能を使って特定のセルだけ抽出することも可能です。
AND関数はいくつまで使えますか?
AND関数で指定する条件は、最大255個まで追加できます。いずれもTRUEまたはFALSEとして評価できるテスト対象となっている必要があるので注意しましょう。
追加したい条件が多いときは、「=AND (logical1, [logical2], [logical3], [logical4], [logical5] …)」と追加していきます。
まとめ
AND関数を始めとする論理関数は、指定条件を満たすセルだけ抽出したいときに便利な関数です。OR関数、IF関数、NOT関数なども使い分けながら活用していけば、条件にぴったり合致するセルだけを抽出できるので役立てていきましょう。
ExcelAnd関数に関する重要用語
用語 | 説明 |
TRUE(真) | 指定条件に合致するセルに表示される用語。 |
FALSE(偽) | 指定条件に合致しないセルに表示される用語。 |
AND関数 | 指定した全ての条件を満たしているか調べる関数。 |
logical | TRUEまたはFALSEとして評価できるテスト対象1つ目の条件を入力する引数。 |
#VALUE! | 指定した範囲に論理値が含まれていない場合に表示されるエラー値。 |
OR関数 | 論理式1または論理式2を満たすものがTRUEとなる関数。 |
IF関数 | 論理式を満たしているものがTRUEとなる関数。 |
NOT関数 | 論理式1および論理式2ではないものがTRUEとなる関数。 |
論理式 | 「=(等しい)」「<(小なり)」「>(大なり)」などの記号を使って条件を指定した式。 |