デザインツールの中でも注目を集めている「Figma」は、ブラウザ上で動作するクラウド型のUI/UXデザインツールです。インストール不要で複数人が同時に編集できるため、リモートワークやチーム開発との相性が抜群です。

本記事では、Figmaの特徴や料金プラン、無料版と有料版の違いをわかりやすく解説します。

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Figmaとは?

Figmaは、ブラウザ上で動作するクラウド型のインターフェース(UI/UX)デザインツールです。インストール不要で、複数人がリアルタイムに同時編集できる協働性の高さが特長です。デザインモードでグラフィック作成、プロトタイプモードでインタラクション設計、さらにDev Modeで開発者向けの仕様確認も行えるなど、デザインから開発まで一貫したワークフローを支援します。さらに現在はFigma Sitesなど、デザインをそのままWeb公開できる機能もベータ提供中です。

このように、Figmaはデザイナー、開発者、プロダクト関係者が密に連携しながらプロダクトを形にできる統合プラットフォームとして注目されています。

Figmaの料金プランと無料版の制限

Figmaには主に以下のプランがあり、ユーザーの利用形態に応じて選べます。

Starter(無料)

個人や学習用途に最適。基本的なデザイン・プロトタイプ作成が可能ですが、チーム単位でのファイル数(3つまで)など制限が存在します。

Professional

小規模チーム向け。無制限のファイル、履歴、チームライブラリ、Dev Mode対応などが含まれ、月額でCollab/Dev/Fullという各種権限別シートが用意されています(Fullで約$16/月)。

Organization/Enterprise

中〜大規模組織向け。共有ライブラリ、SSO、管理機能、セキュリティ強化など、組織的に使いやすい仕組みが整っています。
また教育者・学生は無料で利用可能です。

無料版でできること

無料のStarterプランでは、以下のようなことが可能です。

  • 個人用のドラフトは無制限に作成でき、学習や個人制作には十分な環境です。
  • チーム単位では、FigmaデザインファイルやFigJamファイルがそれぞれ3つまで作成可能です。
  • バージョン履歴は30日分保持され、共同編集やプレビュー共有も可能です。

有料プランの機能比較

有料プランには、主に以下のような機能があります。

プラン名主な特徴
Professional無制限ファイル、履歴、チームライブラリ、Dev Mode、オーディオ会話、パスワード共有などに対応。Fullシート月$16程度です。
OrganizationOrganization全体での共有ライブラリ、SSO、デザインシステム分析、ブランチ・マージ管理などが可能です。
Enterpriseワークスペース管理、高度なセキュリティ(SCIM、シングルサインオン)に加え、管理者向け機能や容量が非常に豊富です。

それぞれ、組織規模や必要な管理レベルに応じてプランを選ぶことができます。

費用を抑えてFigmaを使うコツ

以下の方法でコストを最適化できます。

無料プランの最大活用

個人の学習や試用目的であれば、Starterプランだけで十分という声も多く、まずは無料で始めるのが賢明です。

適切なシートの選択

Collaborator(コメントのみ)やDev Seat(開発者向け参照)など、役割に応じて安価な権限タイプを選ぶことで、必要最低限の費用に抑えられます。

年間契約の活用

月額より安価になる傾向があるため、長期で利用する場合は年間契約を検討すると良いでしょう。

教育機関無償活用

学生・教育者は無償で利用可能なので、対象に該当する場合はぜひ活用するのがおすすめです。

Figmaの基本的な使い方

Figmaではまず、公式サイトやデスクトップアプリでアカウントを作成し、ログインして利用を開始します。アカウント作成後は、ファイルブラウザから新規ファイルを作成し、UI要素のデザインやレイアウトに取りかかれます。

デザインモードでは、図形やテキスト、画像、Auto Layout(自動レイアウト)などを使って柔軟に編集でき、複数フレームも自由に配置可能です。

さらに、プロトタイプモードではボタンから他の画面への遷移やアニメーションなどを設定し、インタラクティブな作品として動作を確認できます。

出来上がったプロトタイプはリンクや埋め込みコードを通じて、チームメンバーやクライアントと簡単に共有できるため、レビューにも便利です。

このようにFigmaは、デザイン制作から動作確認、共有までをシームレスに行える一体型プラットフォームです。

アカウント作成とログイン方法

Figmaを使い始めるには、まず公式サイトで「Sign up」ボタンから新規アカウントを作成します。
ログイン方法は主に以下の3つです。

  • メールアドレスとパスワードによる認証
  • Googleアカウントを使ったシングルサインオン(SSO)
  • 企業向けのSAML SSO(Organizationプラン以上)

ログイン後はファイルブラウザにアクセスでき、最大10アカウントまで同時にログインしてアカウント切り替えも簡単に行えます。

新規ファイルの作成と編集

Figmaではログイン後、「新規ファイル」のボタンを押すだけで簡単に作業を始められます。新しいデザインファイルでは、左側でレイヤーやフレームを管理しつつ、右側では各要素のサイズ・位置・カラーなどの詳細設定が行えます。

Auto Layoutを活用すると、コンテンツの追加や削除に応じた自動調整が可能になり、レスポンシブデザインにも対応しやすくなります。

複数のフレームを並べて画面遷移の構成をまとめたり、コンポーネントを使って再利用設計を高めたりすることで、効率的な編集が進められます。

これによりデザイン編集のスピードが向上し、後続のプロトタイプ作成や共有へのスムーズな流れが実現できます。

プロトタイプ作成と共有方法

新規ファイルでデザインを仕上げたら、プロトタイプモードに切り替えてインタラクション設定を行います。

画面間のリンク、遷移アニメーション、ホバー状態などを指定し、画面遷移のシナリオを構築できるため、ユーザー体験を視覚的に再現できます。

完成したプロトタイプは、共有用のリンクや埋め込みコードを生成するだけで、ブラウザ上からチームやクライアントが簡単に確認できるようになります。

コメント機能を併用すれば、デザインに対して直接フィードバックを受け取れるため、レビューから修正までのサイクルが非常に効率的に進みます。

こうしたプロトタイプ作成と共有のしやすさは、Figmaがデザインと開発の橋渡しツールとして高い評価を得る大きな理由です。

Figma活用事例

Figmaでは多くのケーススタディが公開されており、クリエイターや企業がどのように課題を解決してきたかが学べます。例えば、プロジェクト全体の設計からデザインシステムの構築、チーム運営に至るまで、実践的なノウハウが共有されています。

UI/UXデザイン事例

Behance上には、Figmaを用いた優れたUI/UXデザインのケーススタディが多数掲載されています。

例えば、Finlyというフィンテック系アプリのUI/UXデザインプロジェクトでは、ユーザー調査、ペルソナ設計からワイヤーフレーム、ビジュアルデザインまで一貫してFigma上で進行されています。

また、Aleefというペットケアアプリの事例では、Frameやコンポーネントを活用した再利用性の高いデザイン構造が特徴的で、全体的なブランド体験の統一へつながっています。

これらのプロジェクトは、Figmaの共同編集機能を活かしてチームとリアルタイムで進行できる点も強みです。ポートフォリオ制作やチーム設計の参考としても非常に有効です。

参考:Behance における Figma を用いた UI/UX ケーススタディ一覧

Webサイト・アプリのプロトタイプ作成例

Figmaのプロトタイプ機能を活用した事例としては、RedditユーザーがBehanceに掲載した「Podcasts UI/UX UVP App Redesign」が注目されます。こちらでは、Figma上で設計したインタラクティブなプロトタイプをBehance上でそのまま埋め込み、閲覧者がリアルタイムで動作を体験できる形で公開されています。

このような事例により、ユーザーは単なる静的ワイヤーフレーム以上の体験を得られ、操作フローやUX全体を理解しやすくなります。

Figmaでのプロトタイプ作成と共有の優れたアプローチとして、視覚的な説得力を高める方法のひとつとして参考になる活用例です。

参考:Cool Case Study with Figma Prototypes on Behance

プレゼン資料やバナー制作への応用

FigmaはUIデザインだけでなく、プレゼン資料やバナー制作にも応用できる柔軟性を備えています。公式にはプレゼン用テンプレートやスライド作成機能(Figma Slides)も提供されており、視覚に訴える資料をチームで共同制作する際に役立ちます。

また、バナーデザインではテンプレートやコミュニティ作成のアセットを活用することで、SNS広告やキャンペーン用バナーの制作にも対応可能です。

Figma上で統一されたスタイルやレイアウトを維持しながら、効率よく複数のアウトプット形式に対応できる点が魅力です。

さらに、Figma Slides や他の共有機能を使うことで、チーム内で共有・レビューもスムーズに進行します。

参考:Figma のテンプレートやリソース一覧

Figmaを使う上での注意点

Figmaを使う上での注意点についていくつか紹介します。

データ容量・保存制限

Figmaでは、ブラウザのメモリ制限(およそ2GB/タブ)により、大規模なファイルでパフォーマンスが低下しやすくなります。

これはWebAssembly(WASM)メモリの制限によるもので、60%使用で黄色アラート、75%以上で赤アラートが出て操作に支障が出始めます。そして100%を超えるとファイルがロックされる可能性もあるため、構造を分けるなどの対策が必要です。

また、プラグインを通じてFigmaファイル内に保存できる共有データは、setSharedPluginData API 経由では100 kBというサイズ上限があるため、ローカル保存に頼るプラグインでは注意が必要です

チーム管理での権限設定

Figmaのチームには「Can view」「Can edit」「Admin」「Owner」の権限レベルがあり、役割に応じてきめ細かく設定できます。

「Can view」では閲覧・コメント・プロトタイプ操作が可能ですが、編集は不可です。「Can edit」ではファイルの編集や共有も可能になり、「Admin」以上ではチーム設定やメンバー管理も行えます。

また、Organizationプランでは「Open」「Closed」「Secret」といった見える範囲を設定でき、例えば秘密プロジェクトには限定メンバーだけがアクセスできるようにする運用設計も可能です。

セキュリティ面のポイント

Organizationプラン以上では、セキュリティ強化機能を利用できます。

  • プロトタイプのみ共有/コピー・エクスポートを制限する設定
  • パスワード付きのファイル共有
  • SAML SSO を使った認証(Microsoft, Okta, Google Workspaceなど対応)

さらに、アクティビティログにより誰がいつファイルを閲覧・共有・編集したかを追跡でき、不正利用の抑止にもつながります。

加えて、Reddit上では、ドラフトがデフォルトで“public”な共有設定になっているため、意図せず見られてしまうリスクを注意喚起する声もあり、URLリンク共有時の取り扱いには慎重さが求められます。

まとめ

Figmaは、UI/UXデザインの現場において、ブランド体験を統一しながら効率的に制作を進められる強力なツールです。Behanceに掲載されているFinlyやAleefといった事例からは、構造化されたデザインや再利用性の高いコンポーネントの重要性がうかがえます。

また、プロトタイプをBehance上に埋め込む方法は、単なる静的なワイヤーフレームを超え、閲覧者が実際の操作感を体験できる新しいアプローチとして有効です。さらに、Figma Slidesや豊富なテンプレートを活用すれば、プレゼン資料やバナー制作にも柔軟に対応でき、視覚的統一を保ちながら多様なアウトプットを効率的に生み出すことが可能です。

一方で、大規模プロジェクトではファイル容量の制限やチームの権限管理、セキュリティ設定といった運用面の配慮も欠かせません。

これらの事例と注意点を理解し、適切な方法で活用することで、Figmaはデザイン業務の品質と生産性を大きく高めることができます。

Figmaに関する重要用語

用語概要
ドラフト(Drafts)個人用に無制限に作成できるファイル保存場所です。共有設定には注意が必要です。
チーム(Team)共同作業の単位のこと。メンバーや権限設定、プロジェクトの管理が行えます。
権限(Permissions)Can view / Can edit / Admin / Owner などのこと。操作範囲や管理権限に影響します。