フリーランスとして働く場合、源泉徴収は理解しなければならない制度の一つです。この制度を理解していないと税金を過剰に納めている可能性もあります。ここでは、フリーランスが知っておくべき源泉徴収の基本を紹介します。

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源泉徴収とは

フリーランス 源泉徴収

源泉徴収とは企業など給与を支払う側が、給与や報酬を支払う前に税金を事前に徴収して、税務署に納付する制度です。

フリーランスの場合、源泉徴収の対象となる業務が決まっており、契約金などを支払う業務は対象となるので、事前に自身の業務が源泉徴収対象となるか確認しておきましょう。

源泉徴収税額の計算方法

源泉徴収税額の計算方法は、受け取る報酬額によって異なります。ここでは、受け取る報酬額が100万円未満の場合と100万円以上で紹介します。

100万円未満の支払い

報酬額が100万円未満の場合には、以下の計算式となります。

■式

源泉徴収額=報酬金額10.21%

例えば、報酬金額が50万円の場合には源泉徴収額は以下のようになります。

■例

50万円10.21%=51,050円

100万円以上の支払い

報酬額が100万円以上の場合には以下の計算式となります。

■式

源泉徴収額=(報酬金額-100万円)×20.42%+102,100円

100万円を超えた分に関しては100万円以下の2倍の源泉徴収税がかかることになります。

例えば、報酬金額が200万円の場合には源泉徴収額は以下のようになります。

■例

(200万円-100万円)×20.42%+102,100=306,300円

源泉徴収額を請求書に記載しておくべき?

フリーランス 源泉徴収

ここでは、源泉徴収額を請求書に記載しておくべきかどうか3つの検討ポイントに分けて紹介します。

確定申告時の計算が楽になる

フリーランスが確定申告を行うときには、1年間の収入や費用から計算した納付すべき税金と事前に支払った源泉徴収額の両方を計算します。

そして、差額を計算して税金の納付・還付をする必要があります。そのため、源泉徴収額を把握しなければなりません。事前に源泉徴収額を計算しておくことで、差額の計算を確定申告時にまとめて行う必要がなく、確定申告作業を楽にできます。

関連記事:フリーランスの確定申告はいつまでに? 手順や提出方法について紹介

還付金の対象になる

フリーランスは事前に源泉徴収を行っておくと、確定申告時には事前に支払った源泉徴収額から実際に納付するべき税金分の差額が還付されます。

事前に源泉徴収額を請求書に記載しておくことで、漏れなく事前の源泉徴収ができるので、確定申告時に急な出費がありません。支払うべき税金を月々で一定にしておくことができ、安心して生活を送れます。

支払い漏れ防止

フリーランスは、原則請求書に源泉徴収額を記載する必要はありません。しかし、クライアント側に計算してもらうのも労力が掛かります。

またクライアントによっては源泉徴収額が書かれていないため、納付を忘れてしまう可能性もあります。納付を忘れた場合でも、フリーランス側に罰則はありませんが、クライアント側に迷惑がかかってしまうでしょう。そのためフリーランスは源泉徴収額を計算して、源泉徴収額を記載した請求書を作成しておくのがおすすめです。

また、クライアント側から源泉徴収額を記載した請求書を送付するように指示を受ける場合もあります。いつでも源泉徴収額を計算できる準備はしておきましょう。

源泉徴収の手続き

フリーランス 源泉徴収

基本的に源泉徴収を行うのは、クライアント側です。多くのフリーランスは源泉徴収を行うことはないですが、場合によっては作業を第三者に委託する場合も出てくるでしょう。

その場合には、フリーランスであっても源泉徴収が必要になります。ここでは、源泉徴収の手続きの方法を紹介します。

納付方法

基本的な納付方法は、事業所の住所を管轄する税務署へ直接納付します。しかし、現在では様々な手続きが用意されており、以下のようなキャッシュレス納付を利用することが可能です。これにより税務署や金融機関へ出向くことなく、e-Taxで納付できます。

■キャッシュレス決済例

  • クレジットカード納付
  • ダイレクト納付
  • インターネットバンキング
  • スマホアプリ納付

出典:国税庁「源泉所得税の納税手続」

納付期限

支払い報酬から源泉徴収された所得税・住民税は、原則控除した月の翌月10日までに納付しなければなりません。ただし支払いが行われるものが常時10人未満の場合には、管轄の税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出できます。

この申請書を提出することで、源泉徴収した税金を以下の半年ごとにまとめて納付できます。

源泉徴収期間納付期日
1月初め~6月末源泉徴収期間後の7月10日まで
7月初め~12月末源泉徴収期間後の1月20日まで

出典:国税庁「[手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」

まとめ

ここまで源泉徴収の計算方法や請求書に源泉徴収額を記載するべきか、フリーランスが源泉徴収を行うときのポイントなどを紹介しました。

源泉徴収はフリーランスにとって、重要な制度の1つです。税金を過不足なく納めるためにも、制度を理解しておきましょう。

よくある質問

ここでは、源泉徴収に関するよくある質問を3つ紹介します。

源泉徴収票がない場合の確定申告はどうすればよい?

源泉徴収票は、基本的に年末までにクライアントから届くことになります。もし催促しても源泉徴収票が届かない場合には、所轄税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出しましょう。この届出書を提出することでクライアント元に指導が入り、この段階で源泉徴収票が送られてきます。

関連記事:フリーランスの確定申告はいつまでに? 手順や提出方法について紹介

源泉徴収票と支払調書の違いは?

支払調書は、報酬の支払元が法人やフリーランスなどの個人に「どのような内容で、年間いくら支払ったか」を税務署に報告する書類になります。この書類は、フリーランスなどの支払先には提供されません。

一方源泉徴収票は会社員やフリーランスなどの個人が、どれくらい報酬を受け取っていて、どれくらい税金を納めているかを提供する書類になります。フリーランスなどの支払先は年末までに源泉徴収票を受け取ります。仮に年末までに受け取っていない場合には、報酬の支払元の企業に確認するようにしましょう。

源泉徴収票のテンプレートはありますか?

源泉徴収票のテンプレートは国税庁によって決められています。国税庁のサイトからダウンロードすることで使用できます。

出典:国税庁「給与所得の源泉徴収票」

源泉徴収をする上で抑えておくべき用語

用語意味
所得税1年の所得に関して一定割合でかかる税金のことです。収入ではなく所得であることがポイントになります。経費などを差し引いた分が所得となります。
住民税住民税はその地域に住む人たちが、地域社会の費用を分担するものです。住民税は「市町村民税」と「道府県民税」の2つにわかれています。市町村民税がおおよそ6%、道府県民税がおおよそ4%となっており、合わせて10%の住民税が掛かります。
支払調書フリーランスなどの個人に「どのような内容で、年間いくら支払ったか」を税務署に報告する書類です。
還付申告給与などから源泉徴収を行ったことがある場合、税金が還付される可能性があります。確定申告をする義務がない人でも、還付のために確定申告を行うことを還付申告と呼びます。