Excelには重複データを削除する機能が搭載されています。ひとつずつ目視で重複を確認しながら削除・整理していくのはミスの元となるため、初めからExcel上に搭載されている機能や関数を使って重複削除し、シート全体をすっきりさせましょう。
今回は、Excelで重複削除したいときに便利なUNIQUE関数に使い方を解説します。UNIQUE関数の応用法や他の重複削除法にも触れるのでご活用ください。
UNIQUE関数の基本的な使い方
UNIQUE関数とは、一覧または範囲内の一意の値の一覧を返す関数です。具体的には重複の削除に使われることが多く、膨大なデータから重複部分を消してすっきりさせたいときや、項目数だけを抽出したいときに役立ちます。
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関数の構文
UNIQUE関数の構文は、「=UNIQUE(配列,[列の比較],[回数指定])」です。「配列」は抽出する元データの範囲または配列を指定する部分であり、必須項目です。「列の比較」では、抽出する元データの範囲または配列からユニークの列を返したい場合は「TRUE」、ユニークの行を返したい場合は「FALSE」を指定します。省略することも可能ですが、省略の場合は全て「FALSE」が指定されます。
「回数指定」では、抽出する元データの範囲または配列で1回だけ出現する値を返す場合は「TRUE」、範囲または配列の重複しないすべての値を返す場合は「FALSE」を指定します。こちらも、省略した場合は全て「FALSE」が指定されます。
基本的な使用例
【1】値の一覧から一意の値を返したいときは、「=UNIQUE(B2:B18)」と入力します。B2からB18の範囲にある項目をひとつずつ返してくれるため、重複を削除できます。
【2】「品番」では「1」「2」「3」「4」「5」の5種類があることがわかりました。
実践例:重複データの削除
【1】UNIQUE関数を使うと、ひとつの表から重複を削除するだけでなく、複数列を対象とした重複削除もできます。まずは重複データ削除後の内容を入力するために、別枠を用意します。
【2】UNIQUE関数を入力します。「=UNIQUE(B3:B10:C3:C10)」で「B3からB10およびC3からC10の範囲にある重複データを削除する」という意味になります。
【3】B列C列両方の重複データが自動で削除され、非重複データのみが残ります。
UNIQUE関数以外の重複削除法
Excelで重複を削除するためには、UNIQUE関数以外を使うこともあります。以下では代表的な重複削除法を解説します。
「重複を削除」機能の活用
【1】重複データを削除したい範囲を選択し、「データ」タブ→「データツール」→「重複の削除」を選択します。
【2】重複の削除に関する警告ポップアップが開きます。現在選択している範囲内での重複削除で問題なければ「現在選択されている範囲を並び変える」、改めて範囲を指定したければ「選択範囲を拡張する」を選択します。
【3】改めて重複を削除したい範囲を聞かれるので、希望する範囲にチェックボックスを入れます。
【4】重複が削除されたことを示すポップアップが開きます。今回は「2個の重複する値が見つかり、削除されました。6個の一意の値が残ります。カウントには空のセルやスペースなどが含まれる場合があることに注意してください」と記載されました。
つまり、2項目が削除され、6項目が残っているとわかります。
COUNTIF関数で重複の個数をチェック
【1】重複データ削除後の内容を入力するために、別枠を用意します。
【2】COUNTIF関数を入力します。COUNTIF関数とは、指定範囲のなかから指定条件に当てはまるセルの数をカウントする関数です。「=COUNTIF(B3:B10,B3)」で「B3からB10の範囲内にあるB3と同じセルの数をカウントする」という意味になります。
【3】同様の関数を他のセルにもコピー&ペーストしていきます。重複がある場合、重複しているセルの個数がカウントされます。
【4】内容をチェックしながら、重複していて不要なセルを削除します。
よくある質問
ExcelのUNIQUE関数に関して「よくある質問」を紹介します。
Excelでユニークな値を取り出す関数は?
Excelでユニークな値を取り出す関数は、UNIQUE関数です。UNIQUE関数では、同じ値が複数入力されているリストからユニークな値を瞬時に抽出できるので、リストの作成がスピーディーに完了します。
なお、Excelにおける「ユニーク」とは、「一意の、唯一の」と言う意味を持つ単語です。「重複するものがない」と言い換えることも可能です。「一意の」とは「ただひとつに定まる」という意味を持っています。つまり、「ユニークなセル」と表現する場合、重複していない唯一のセル、という意味で使えます。
ExcelのUNIQUE関数はいつから使えるようになった?
ExcelのUNIQUE関数がリリースされたのは2019年12月であり、最新のExcel2021とMicrosoft365で使用できる関数です。Excel2019やExcel2013では使えないので注意しましょう。Excel2021でUNIQUE関数を使って作ったデータであっても、Excel2019やExcel2013でブックを開くとデータが失われてしまったり忠実性が欠けてしまったりすることがあるため注意しましょう。
Excelのバージョンが古いときは、Excelのメニューから「エクセル統計」→「ヘルプ」→「バージョン情報」をチェックし、「更新プログラムをダウンロードする」ボタンをクリックします。Microsoft365であれば随時最新バージョンのExcelに更新されていくため、適宜のアップデート作業や最新Excelの買いなおしが要りません。
Excelで重複しないリストを作るには?
Excelで重複しないリストを作りたいときは、以下いずれかの手法で重複を削除するのがおすすめです。
- UNIQUE関数を使った重複削除
- COUNTIF関数を使った重複削除
- 重複削除機能を使った重複削除
いずれも重複しているデータを削除できる他、対象となる行・列を指定できるので、整理したい部分だけを選択して実行できるのがメリットです。その他、フィルタ機能を使って1項目ずつ重複を有無を確認しながら目視と手作業で重複を削除する方法もありますが、対象範囲がごく限られているときでないと膨大な手間がかかるため注意しましょう。
まとめ
Excelには重複データを抽出するだけでなく、重複部分を自動で削除する機能も搭載されています。ひとつずつ目視で確認しながら削除・修正することもできますが、膨大な時間がかかるので注意しましょう。時間がかかるだけでなく誤りやデータ改変のもととなるケースもあるので、慎重に進めるのがポイントです。
ミスなく重複データを削除したい場合、関数やExcel上に搭載されている機能を使います。内容を見ながら削除の可否を判断したい場合と、重複部分を自動で消したいときとで対策を使い分け、データ全体を見やすく整えていきましょう。
Excel UNIQUE関数に関する重要用語
用語 | 説明 |
UNIQUE関数 | 一覧または範囲内の一意の値の一覧を返す関数。重複したデータを削除できる関数としても使える。 |
COUNTIF関数 | 指定範囲のなかから指定条件に当てはまるセルの数をカウントする関数。 |
重複削除 | 同一のデータが複数回入力されているときや新旧のデータが同じシートにある際に便利な機能。 |