Googleスプレッドシートには、ポップアップでメッセージを表示できる機能が搭載されています。忘れがちなタスクをメモ代わりに残したり、メンバー間で必要な情報共有に使ったり、さまざまな活用法があるので試してみましょう。
この記事では、Googleスプレッドシートでポップアップを表示させる方法を解説します。使用頻度の高い、ポップアップ表示やよくある質問にも触れるので参考にしてください。
ポップアップ画面を表示させるために必要なGASとは?
Googleスプレッドシートでポップアップ画面を表示させる際は、GASを活用します。GAS(Google Apps Script)とは、Googleが開発・提供しているアプリケーション開発プラットフォームです。Webブラウザ上で動作するプログラミング言語であるJavaScriptをベースに開発され、プログラミング初心者でも扱いやすい手法として確立しました。
また、Googleアカウントを持っている人であれば誰でもGASを無料で活用できるのもポイントです。専用の開発環境も不要なことやGmailやGoogleドキュメントなど、Googleスプレッドシート以外のサービスとも連携可能なことも特徴です。
普段Googleのサービスを使う機会が多い方は、GASを使いこなすことで業務効率化ができるでしょう。
関連記事:GASを利用したスプレッドシートでURLを取得する関数を紹介!
ポップアップ画面を表示させる手順
ここからは、Googleスプレッドシートでポップアップ画面を表示させる手順を解説します。
スプレッドシートを準備
【1】Googleスプレッドシートを準備します。Googleスプレッドシートの公式サイトにアクセスし、「スプレッドシートに移動」をクリックします。
【2】Google Workspaceのアカウントがある人は、「ビジネス向けスプレッドシートを試す」をクリックします。Google Workspaceは有料のビジネス向けのクラウドツールであり、セキュリティ強化機能や大容量のクラウドストレージが提供されています。
プラン名 | Business Starter | Business Standard | Business Plus | Enterprise |
料金 | 680円/月 | 1,360円/月 | 2,040円/月 | 要相談 |
機能 | ・セキュリティ保護されたカスタムのビジネス用メール・100人まで参加可能なビデオ会議・30GBのストレージ など | ・セキュリティ保護されたカスタムのビジネス用メール・150人まで参加可能なビデオ会議・2TBのストレージ など | ・セキュリティ保護されたカスタムのビジネス用メール・500人まで参加可能なビデオ会議・5TBのストレージ など | ・セキュリティ保護されたカスタムのビジネス用メール・1,000人まで参加可能なビデオ会議・5TBのストレージ など |
ビジネスシーンでの活用を想定している場合は、Google Workspaceへの加入も検討しましょう。
【3】Googleのアカウントを所持していない場合は、「登録(料金はかかりません)」をクリックします。アカウント作成は無料で、Googleスプレッドシート以外にもGoogle関連の各種サービスが使えるようになります。
スクリプトエディタを開く
【1】Googleスプレッドシートの「拡張機能」タブ内にある「Apps Script」をクリックし、スクリプトエディタを開きます。
【2】「拡張機能」タブ内に「Apps Script」がない場合、「ツール」タブ内の「スクリプトエディタ」をクリックします。
ポップアップ表示に必要なスクリプトを記述
【1】スクリプトエディタ上の「コード.gs」の部分に、ポップアップ表示に必要なスクリプトを記述します。
function myFunction() {
//メッセージボックスを出す
var result = Browser.msgBox(“こんにちは”, Browser.Buttons.OK_CANCEL);
if (result == “cancel”){
Logger.log(“canceled…”)
}
}
上記では、Googleスプレッドシートを開いたときに「こんにちは」とポップアップ表示されます。
【2】「実行」ボタンをクリックすると実行され、実行ログにも記載されます。
【3】「実行」ボタンをクリックしたとき、「承認が必要です」と表示された場合、権限の確認に進みます。
【4】自分のGoogleアカウントをクリックします。
【5】「このアプリはGoogleで確認されていません」と表示された場合、「詳細」をクリックします。
【6】「無題のプロジェクト(安全ではないページ)に移動」をクリックすると、スクリプトの実行権限が付与されます。
スクリプトを実行
無事にスクリプトが実行されると、ポップアップが表示されます。表示したい内容に合わせてスクリプトを変更しながら活用しましょう。
さまざまなポップアップ表示
ここでは、さまざまなポップアップ表示の方法を解説します。
選択肢付きポップアップ画面を表示
【1】選択肢付きポップアップにしたい場合、スクリプトエディタ上の「コード.gs」の部分に、msgBox関数を使ったスクリプトを記述します。
function myFunction() {
var test = Browser.msgBox(“続けますか?”, Browser.Buttons.OK_CANCEL);
Browser.msgBox(test);
}
【2】「続けますか?」という問いに、「OK」もしくは「キャンセル」を選択するポップアップが表示されます。
入力欄付ポップアップ画面を表示
【1】入力欄付きポップアップにしたい場合、スクリプトエディタ上の「コード.gs」の部分に、msgBox関数を使ったスクリプトを記述します。
function myFunction(){
var age = Browser.inputBox(‘あなたの年齢は?’);
Browser.msgBox(age+’歳’);
}
【2】「あなたの年齢は?」という問いに対して、答えを入力できるポップアップが表示されます。
タイトル付きポップアップ画面を表示
【1】タイトル付きポップアップにしたい場合、スクリプトエディタ上の「コード.gs」の部分に、msgBox関数を使ったスクリプトを記述します。下記スクリプトのうち、「どちらかを選択して下さい」の部分がタイトルとして表示されます。
function myFunction() {
var test = Browser.msgBox(“どちらかを選択して下さい”, “続けますか”, Browser.Buttons.OK_CANCEL);
if (test == ‘ok’) {
Browser.msgBox(“okを押しました”);
}
if (test == ‘cancel’) {
Browser.msgBox(“キャンセルを押しました”);
}
}
【2】「どちらかを選択して下さい」というタイトルがついています。選択肢のあるポップアップと組み合わせているため、タイトルも選択肢も表示されています。
よくある質問
最後に、Googlelスプレッドシートのポップアップ表示に関して「よくある質問」を紹介します。
ポップアップ表示はどのような時に役立ちますか?
Googleスプレッドシートのポップアップ表示は、下記のようなときに役立ちます。
- 忘れがちなタスクをメッセージで表示させてリマインドしたいとき
- 複数人で同時編集するに当たって注意事項を事前に知らせたい
- 対象者のみにGoogleスプレッドシートを開いてほしいとき
「本データは○○県在住の方用です」とアラートを出したり、「毎月15日までに提出」とスケジュールを登録したり、あらゆる方法で活用できます。特に、セルへのコメントだけでは見落としてしまう恐れのある重要なメッセージを伝えたいときは、ポップアップを使うのが便利です。
ポップアップの「はい」「いいえ」などの表記は変えられますか?
ポップアップの「はい」「いいえ」などの表記を変えたいときは、下記を参考ください。
ボタン名 | スクリプト上の表記 |
OK | ok |
はい | yes |
いいえ | no |
キャンセル | cancel |
まとめ
Googleスプレッドシートのポップアップは、タスクのリマインドや注意点をアラートしたいときに役立つ機能です。Googleスプレッドシート上で簡単に設定できるので、複数人で作業するときや忘れがちなタスクがあるときに活用してみましょう。選択肢やタイトルなども加えれば、より便利に活用できます。
スプレッドシートポップアップに関する重要用語
用語 | 意味 |
GAS | Google Apps Scriptの略称。Googleが開発・提供しているアプリケーション開発プラットフォーム。 |
Google Workspace | Google関連サービスの機能を拡張できるビジネス向け有料プラン。 |
スクリプトエディタ | GASのスクリプトを記述できる場所。スクリプトやツールの作成だけでなく、アプリケーション作成にも活用可能。 |
スクリプト | スクリプト言語で記述されたプログラムのことで、記述から即実行が可能。 |
MsgBox関数 | 画面に警告やメッセージ等のウィンドウを表示する関数。 |