LOG関数は、「金利の複利計算」「経済成長率の指数関数的な変化の可視化」などに役立つ関数です。その他、市場のトレンド分析やリスク管理に用いられることも多く、データ変換と正規化に役立ちます。

今回は、Excelで使える便利なLOG関数について解説します。LOG関数だけでなく、類似のLOG10関数にも触れているので参考にしてみましょう。

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Excel LOG関数の基礎

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LOG関数とは、指定した数値を底とする対数を求める関数です。対数とは、ある数aをp乗してbになるとした場合(即ちb=ap)となる場合の、べき指数「p」を指す言葉です。対数自体が数学Ⅱで習う項目であるため複雑に感じるかもしれませんが、元々は複雑な掛け算や割り算を、足し算と引き算を使って概算するために考え出された関数です。同じ数を自身に何度も繰り返し掛け算する計算方法「べき乗」をしたいときにも役立ちます。

Excelは複雑な計算の自動化に向いていますが、指定した数値を底とする対数を求めるようなこともできるので上手に活用していきましょう。

LOG関数の構文と引数

LOG関数の基本構文は、「=LOG(数値, [底])」です。

「数値」は必ず指定する必要があり、対数を求める正の実数を入力します。「底」は省略可能な項目であり、対数の底を指定します。底を省略すると10を指定したと見なされるため、底を10にしたいときは省略して関数の記述を楽にする方法もあります。

LOG関数を使った対数の計算

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【1】「=LOG(10)」では、「数値」を10にして「底」を省略した場合において10の対数を求める式として機能します。結果は「1」と表示され、底の10と等しくなるようにべき乗した指数となります。

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【2】「=LOG(8, 2)」では、2を底とする8の対数を求めます。結果の3は、底を8と等しくなるようにべき乗した指数です。

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【3】「=LOG(86, 2.7182818)」では、eを底とする86の対数(およそ2.718)を求めます。結果の4.454は、底を86と等しくなるようにべき乗した指数です。「=LOG(10)」でも底を10とみなすため、同様の結果が返されます。

Excel LOG10関数の基礎

LOG関数と似ているものとして、LOG10関数が挙げられます。LOG10関数とは、10 を底とする数値の対数を求める関数です。ここではLOG10関数について詳しく解説します。

LOG関数の構文と引数

LOG10関数の基本構文は、「=LOG10(数値)」です。「数値」は必ず指定する必要があり、10を底とする対数(常用対数)を求める正の実数を指定します。

LOG関数を使った対数の計算

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【1】「=LOG10(86)」では、10を底とする86の対数を求めます。結果の1.9345は、底である10を86と等しくなるようにべき乗した指数です。

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【2】「=LOG10(10)」では、10を底とする10の対数を求めます。 これは10と等しくなるようにべき乗した指数10です。

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【3】「=LOG10(100000)」では、10を底とする100000 の対数を求めます。これは10と等しくなるようにべき乗した指数100000です。

Excel LOG関数の利用シーン

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ここでは、ビジネスシーンにおいて対数関数が役立つシーンを解説します。対数関数はビジネスに分野でも広く活用されており、特に経済学・市場分析・リスク管理などの領域で役立ちます。

複利計算

複利計算とは、元本に対し利子が複利で加算されていく様子を計算するものです。通常の単利計算では元本にのみ利子がかかりますが、複利計算の場合は元本だけでなくそれまでに発生した利子にも利子がかかることが特徴です。複利計算は単純に複利がかかる融資の返済額を算出するだけでなく、時間と共に成長する投資の価値を表現するときにも便利です。

例えば「=LOG(2, 1.10)」の関数を使った場合、ある投資が年率10で成長するとき、何年で元本が2倍になるか計算できます。ここでの「1.10」は成長率を表しており、計算結果が「7.27」であるため7.27年後に元本が2倍になるとわかります。対数を使うことで成長率が時間に対してどう変化していくか、簡単に可視化できるので活用してみましょう。

経済モデリング

経済モデリングとは、経済現象や経済システムの動態や振る舞いを理解し、予測するために使用される手法です。主に数学的なアプローチや統計学的手法を使うことが多く、経済に関する変数をモデル化して相互作用の可視化や将来予測に役立てます。特に、消費・生産・収入など各種経済指標の変動をモデル化したいときに便利です。

有名な「マクロ経済モデル」や「ミクロ経済モデル」でも、対数を使った経済モデリングの考え方が導入されています。データの比率の変化を直線的に表現し、経済的な関係を分析できます。

市場のトレンド分析

ビジネスアナリストなど市場のトレンド分析を中心業務とする職種では、頻繁に対数を使った分析手法を活用します。商品の価格変動や市場の成長パターンなどを調べることができるので、比較的小さな変動から業界全体に影響するような大きなトレンドまで可視化できます。

対数スケールを用いることで、長期的なトレンドをより正確に捉えられるのも魅力のひとつです。データの分布を安定化させやすく、特に経済や金融データのように幅広い値を取ることが多く、かつ分散が大きくなる傾向がある場合に有効です。

リスク管理

金融リスク管理において、対数関数は価格変動の測定やリスク評価に使われます。特に株価や商品価格の変動を対数で表現することで、価格の変動率を正確に捉えられるためリスクの管理と評価がしやすくなります。

例えば「=LOG(current_price / previous_price)」とした場合、現在の株価と1年前など以前の株価を用いて対数収益率を計算できます。「current_price」には現在の株価を、「previous_price」には以前の株価を入力します。

また、対数リターンを用いたポートフォリオ最適化に活用されることも多く、投資リスクとリターンのトレードオフを適切に管理することにつながります。対数収益率を用いたモンテカルロシミュレーションなど、リスクシナリオの作成やリスク管理のためのシミュレーションをしたいときに便利です。

データ変換と正規化

ビジネスデータの分析では、対数変換を用いてデータのスケールを正規化することがあります。極端な値や外れ値の影響を抑えることができ、データの全体的な傾向を明確に捉えるのに役立ちます。外れ値の影響も軽減しやすくなるため、データのパターンを可視化するときにも便利です。

よくある質問

ExcelのLOG関数に関して「よくある質問」を紹介します。

ExcelでLOG10とはどういう意味?

Excelで「LOG10」と表現する場合、10を底とする数値の対数を返す、という意味になります。またはLOG10関数そのものを指すこともあります。引数としてゼロや負の数を与えるとエラー値が返されるので、対数を取る数は正の実数になるよう調整しましょう。

ExcelのLOGとは?

ExcelのLOG関数は対数を計算するための関数ですが、底が10ではなく任意の数値にできます。データの視覚化・複数の底を用いた比較・分析、株価の収益率予想、データのスケーリングなどに役立ちます。

まとめ

LOG関数は一般的に馴染みのない関数のように思えますが、膨大なデータのスコアリングやスケーリング、経済分析などのシーンで大いに役立ちます。直観的な意思決定を防ぎ、データドリブンな判断をしたいときにこそ役立てましょう。

Excel Log関数に関する重要用語

用語説明
LOG関数指定した数値を底とする対数を求める関数。「=LOG(数値, [底])」で示す。
LOG10関数10 を底とする数値の対数を求める関数。
対数ある数aをp乗してbになるとした場合、即ちb=apとなる場合の、べき指数pのこと。
対数の底はx乗して真数を表すための数字。
べき乗同じ数を自身に何度も繰り返し掛け算する計算方法。