重複削除は、同一のデータが複数回入力されているときや新旧のデータが同じシートにある際に活用する機能です。データを目視で確認する必要がなく、重複部分だけを簡単に抽出・削除できます。
この記事では、Excelで行や列ごとに重複削除する方法を解説します。関数やマクロ、重複削除ボタンの活用など複数の方法を紹介するので、参考にしてみましょう（本記事では、Microsoft Excel 2021を利用）。
Excelで行や列を削除する方法とは？
重複削除する際は、列や行ごと削除することが多いです。まずは、行と列それぞれの削除方法を解説します。行は、下記の方法で削除できます。
【1】削除したい行の左端部分をクリックし、行全体が選択された状態にします。
【2】右クリックして「削除」を選択します。
列を削除する場合も、同様に削除したい列の上部をクリックして全体を選択してから、右クリック→「削除」で完了します。
Excelで重複したデータを抽出する方法
Excelで重複削除したい場合は、重複データの抽出から開始します。
【1】データの右端など任意の場所に、重複確認用の列を作成します。
【2】重複確認用の列に、IF関数を入力します。IF関数は、指定条件に合致するか判断する関数です。今回は、指定範囲内で重複があるかを確認します。
「=IF(COUNTIF($B$3:$B$11,B3)>1,”重複”,””)」
「B3からB11に入力されている氏名のうち、重複する項目には「重複」と入力し、重複していないものはそのまま空欄にする」という意味の関数です。
【3】エンターキーで関数が反映されます。1行目の「加藤 涼子」であるデータは重複していないため空欄ですが、同様の関数を他のセルにコピーしていくと、重複部分が抽出されます。
抽出したデータを削除する方法
重複データは、下記の方法で削除できます。それぞれのメリットやデメリット、使い方を知り活用しましょう。
手動で削除
手動で削除する場合は、フィルター機能を活用します。
【1】フィルター機能は、「ホーム」タブ内にある「編集」→「並び替えとフィルター」から設定できます。表のヘッダー部分を選択し、「並び替えとフィルター」→「フィルター」をクリックします。
【2】フィルターを設定できたら、重複しているデータだけを表示するため、重複確認列の「▼」ボタンをクリックします。
【3】「重複」だけにチェックを入れて「OK」をクリックします。これにより、「重複」と記載された行のみが残ります。
【4】内容を確認しながら、不要な列を手動で削除します。どのデータを残したいか目視で確認できるのがメリットです。ただし、重複データの量が多く、一括削除したい場合には向きません。
関数（COUNTIF）の利用
【1】重複確認用の列に、COUNTIF関数を入力します。COUINTIF関数は、条件に合致するセルの個数を自動入力する関数です。今回は、重複個数を確認するために使用します。
「=COUNTIF($B$3:$B$11,B3)」
「B3からB11に入力されている氏名のうち、重複している回数を調べる」という意味の関数です。
【2】関数をエンターキーで反映させ、同様の関数を他のセルにもコピーします。氏名が重複している行には「2」以上の数字が、重複していない行には「1が入力されます。
【3】不要な行を選択し、削除します。どのデータを残したいか目視で確認できます。ただし、一括削除はできません。
マクロの利用
1行に含まれているデータのうち、全ての項目が重複する行を一括削除したいときにはマクロが便利です。
Sub Test2()
Dim maxRow As Long
maxRow = Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
（データの最終行を取得する）
Range(“B3:D” & maxRow).RemoveDuplicates (Array(1, 2, 3))
（B3からDの指定範囲内で重複しているデータのうち、1,2,3列目を削除する）
End Sub
マクロは、「開発」タブから「Visual Basic」をクリックして設定します。コードの入力が完了したら、「F5」キーまたは「実行」ボタンから実行します。
関連記事：Excelで行や列を一括で再表示できる？ マクロで仕事を効率化！
重複削除する際の注意点
重複削除する際は、下記に注意します。重複しているデータが重複と判断されなかったり、誤って重複削除してデータを戻せなかったりする可能性があります。
全角・半角スペースを確認
事前に入力データの全角・半角スペースをチェックします。
例えば「加藤 良子」と「加藤 良子」など、氏名の間のスペースが統一されていない場合、重複データとして抽出されません。また、「東京都 千代田区」「東京都 千代田区」など、住所でも同様のことが起きやすいので注意しましょう。
バックアップを取っておく
事前にバックアップを取ってから、重複削除を実行しましょう。万が一設定を誤って重複削除した場合、元データに戻せない可能性があります。
バックアップの作成方法は、下記の通りです。
【1】「ファイル」タブ内にある「名前をつけて保存」を選択し、「その他のオプション」をクリックします。
【2】Excelの保存先を選択し、下部にある「ツール」→「全般オプション」をクリックします。
【3】「バックアップファイルを作成する」にチェックを入れ、「OK」をクリックします。
よくある質問
最後に、Excelの重複削除に関する「よくある質問」を紹介します。
重複したデータを両方削除したい場合はどのようにすればよいですか？
重複したデータを両方削除したい場合は、「重複の削除」ボタンが便利です。
【1】重複チェックしたい部分を選択し、「データ」タブ内の「データツール」→「重複の削除」ボタンをクリックします。
【2】重複チェックしたい項目をクリックします。（今回は「氏名」のみにチェック）
【3】自動で重複削除されます。重複削除された行および重複せず残された行の数は、ポップアップで表示されます。ただし、どの行が削除されたかは分からないので注意しましょう。
関連記事：【トラブル解決】Excelで重複削除ができない場合の対処法を解説
重複データを一発で削除できるショートカットキーはありますか？
重複データを一発で削除できるショートカットキーは、「Alt→A→M」です。
【1】重複チェックしたい範囲を選択して「Alt→A→M」を押すと、「重複の削除」が開きます。氏名での重複を削除したい場合は氏名だけ、全ての項目が重複するデータを削除したい場合は全項目、など用途に応じてチェックを入れます。
【2】「OK」をクリックすると、重複部分が一括削除されます。
まとめ
Excel上のデータが重複する場合、まずは重複部分の抽出から始めます。その後、目視で確認しながら削除したい場合は手動もしくはCOUNTIF関数を使い、一括削除したい場合は「重複の削除」ボタンもしくはマクロを使いましょう。
一括削除したい場合は、便利なショートカットキーを使う方法もあります。重複データの量や用途に合わせて使い分けるのが大切です。
重複削除に関する重要用語
| 用語 | 意味 |
| 重複 | 同じ内容が入力されてしまっている状態 |
| 重複の削除ボタン | 重複しない値を抽出、または重複する値を削除できるボタン |
| IF関数 | 指定条件に合致するかを判断する関数 |
| COUNTIF関数 | 条件に合致するセルの個数を入力する関数 |
| 重複データを一発で削除できるショートカットキー | 「Alt→A→M」で削除できます。 |
