2022年11月にOpenAI社から先進的な自然言語処理技術であるChatGPTが公開され、その魅力や活用方法について様々な分野で注目や研究がされています。
実際にChatGPTを利用しているユーザーとの対話やインターネット上に存在するデータを活用して学習を行い、日々アップデートを行っています。この情報と高度なAI技術を活用した高い文章生成能力をあわせて、ユーザーの質問や指示に対応した返答の生成を行なっています。
この技術を論文執筆に活用する場合には、論文の初稿を構築したり、関連する文献の収集したりするだけでなく、論文の要約や様々な言語への翻訳など多岐にわたるサポートをしてくれます。本記事では、ChatGPTを論文執筆に活用した場合の利点や具体的な活用方法について紹介します。
出典:OpenAIが会話向け言語モデル「ChatGPT」を公開、リサーチプレビュー中は無料で使用可能
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ChatGPTで論文を執筆する利点とその活用法
ChatGPTで論文を執筆する利点とその活用法について、以下の4つの観点から紹介します。
論文作成におけるAI活用の効率性と精度
AIの活用によって、論文作成の効率性と精度が以下の要素から向上に繋がる可能性があります。
文献調査の効率向上
AIは大量の文献データを迅速に処理し、関連する情報を抽出できます。文献調査の効率向上により、関連する研究や情報に迅速にアクセスでき、論文の背景や文脈を十分に理解できるようになります。
要約・抽出
AIは文書を要約したり、重要な情報を抽出する能力を持っています。これにより、大量の情報から論文に必要な要素を効果的に取り出しやすくなります。研究の要点や結論を自動的に把握できるため、執筆作業がスムーズに進むでしょう。
文書生成
自然言語処理モデルを使用することで、AIは論文の一部を自動的に生成できます。これはアウトラインや初稿の作成に役立ちます。ChatGPTなどのモデルは、ユーザーの入力に基づいて自然な文章を生成する能力があります。
言語のチェック
AIベースの言語処理ツールは、文法の誤りやスタイルの違和感を指摘することができます。これにより、論文の品質を向上させるとともに、プロフェッショナルな表現が可能です。
ChatGPTを使った専門知識の集積と研究の進展
ChatGPTは、実際にChatGPTを利用しているユーザーと行った対話やインターネット上に存在するデータを用いて日々学習を続けています。それだけでなく、ChatGPTに対して論文に用いるような専門知識の数々を直接学習させたり、複数の論文から得た専門知識を集積することも可能です。
また、ChatGPTはユーザーが論文の概要や具体的な研究トピックなどを投げかける事で、学習した内容からその概要やトピックに関連した情報をピックアップし、文章を生成することもできます。論文作成には、複数の関連資料や論文を読み解く必要があります。そのためには膨大な時間を要します。ChatGPTは、この時間を大幅に短縮してくれ、研究の進展をより効率的にしてくれるのです。
ChatGPTに専門知識を学習させる方法として、おすすめなのが次の2つの方法です。
- プロンプトを活用する
- 各社が提供しているAPIを用いたツールを活用する
プロンプトを活用する
ChatGPTに専門知識を学習させる方法の中で、プロンプトの活用が最も手軽で一般的な方法となります。
元来、プロンプトとはIT分野で古くから用いられてきた用語で、「コンピューターがユーザーに対して入力や処理を促す文字列」のことを指します。一方、AI分野におけるプロンプトは「ユーザーがAIに対して入力や処理の命令をする文章」のことを指します。一言で言うとChatGPTのチャット欄にユーザーが入力するテキストのことです。
ChatGPTにプロンプトを投げかけるときに、必要な情報をプロンプトに含めることで、含まれている情報から回答してもらうといった学習方法となります。
ただし、ChatGPTに長投げかけることのできるプロンプトやChatGPTからの返答は文字数制限があります。具体的な制限数は無料版・有料版(Plus)で約4,096トークン、有料版(Business)では約8,192トークンです。
そのため、学習させたい内容が多いほどプロンプトでの学習方法には限界が発生してしまう点には注意しましょう。
企業が提供しているAPIを用いたツールを活用する
ChatGPTが多くの場面で用いられるにつれて、様々な企業でChatGPTを用いた独自AIの作成をサポートしてくれるツールが提供されています。
ChatGPTにはAPIが提供されており、これを利用することで指定したプロンプトに基づいた返答の生成や特定フォーマットでの出力を行うことができます。
ここでは、anybot社が提供している「anybot fot ChatGPT」について紹介します。
「anybot fot ChatGPT」は、テキストファイルやpdf、CSVなどのデータをChatGPTにインプットして学習させることができます。従来では、これらの作業を行うためにはITに対して深い知見を必要としていましたが、「anybot fot ChatGPT」を用いることにより、手軽に行うことが可能です。
料金体系や利用料といった情報は公開されていないため、興味があればanybot社へお問い合わせしてみて下さい。
参考:
ChatGPTの文字数制限を解説|対処法や有料版・無料版の違いも
語学の壁を越えた日本語対応の学術文献生成
文部科学省の科学技術・学術制作研究所が2017年1月30日に発表した「ジャーナルに注目した主要国の論文発表の特徴 ―オープンアクセス、出版国、使用言語の分析―」では、ジャーナル区分における論文の使用言語は次のような結果となっています。
- 他国ジャーナル:OA/Non-OAに関わらず、ほぼ全ての論文で英語が使用されている
- 自国Non-OAジャーナル:日本、ドイツでは約50%、韓国では約70%で英語が使用されている
- 自国OAジャーナル:非英語圏の国でも英語使用割合が著しく高い
英語表記の論文作成が、現状となっているのです。
ChatGPTを利用して外国語の論文を日本語に翻訳したり、日本語で作成した論文を英語などへの翻訳に活用することができます。
ChatGPTを利用する理由としては、機械学習により多くの言語を学習し続けているため、高精度の翻訳を提供することができる点です。また無料・有料を問わず、英語、日本語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、中国語などの様々な言語に対応している点も翻訳に向いているといえるでしょう。
参考:ジャーナルに注目した主要国の論文発表の特徴 ―オープンアクセス、出版国、使用言語の分析
時間を節約し、個人の執筆力を向上させる方法
ChatGPTを活用して論文の執筆を行う最大の利点は、論文執筆にかかる時間を短縮することができる点です。
ChatGPTを活用して論文執筆を行う場合、論文執筆に必要となる情報の検索や初稿の作成をChatGPTに投げることで、迅速に結果を得ることができます。仮に、執筆が苦手であっても、ある程度論文の雛形が出来上がっている状態から推敲をするだけなら苦労は少なくてすむでしょう。
また、この作業を繰り返すうちにどのように論文を執筆していけば良いかも理解できるようになるため、執筆力の向上を図ることも期待できます。
論文執筆にかかる時間が短縮できるということは、その時間を別のことに使うことができる点も魅力と言えるでしょう。論文とは別の作業に使うのもいいですし、論文に関わる情報の更なるリサーチやブラッシュアップに使い、より良い論文執筆に繋げることもできるのです。
ChatGPTの論文作成プロセスとその使い方
ChatGPTを活用した論文作成プロセスとその使い方について紹介します。
必要データの入力と使用方法の確認
初めは、必要データの入力と使用方法の確認です。以下では、モデルの設定とトレーニング方法を紹介します。
1.問題の定義と範囲の設定
研究の目的や対象となる問題領域を明確に定義します。ChatGPTの場合、一般的には対話や自然言語処理に焦点を当てて行います。
2.データの収集と前処理
データセットを選定し、それをモデルのトレーニングに使用するために前処理を行います。一般的には、自然言語の例文や対話などがデータに含まれていることが多いです。
3.モデルの設計
使用するモデルのアーキテクチャや構造を設計します。ChatGPTの場合、GPT(Generative Pre-trained Transformer)アーキテクチャを基にしています。
4.ハイパーパラメータの設定
モデルのトレーニングに使用されるハイパーパラメータ(学習率、バッチサイズなど)を設定します。
ハイパーパラメータは、機械学習モデルの設定において手動で調整されるパラメータであり、通常はモデルの学習プロセスにおいて最適な性能を発揮するように調整されます。
ハイパーパラメータはモデルのアーキテクチャや学習アルゴリズムに関連しており、訓練データに依存せず、モデルの学習中に最適な値を学習することはできません。
一般的なハイパーパラメータは以下の通りです。
ハイパーパラメータ | 概要 |
学習率 | 学習率は、モデルのパラメータを更新する際のステップの大きさを指定します。高すぎると発散しやすくなり、低すぎると収束が遅くなります。そのため、適切な学習率を見つけることが重要です。 |
バッチサイズ | モデルが一度に処理するトレーニングデータのサンプル数を指定します。大きなバッチサイズはメモリの効率が良いですが、学習が不安定になる可能性があります。逆に、小さなバッチサイズはより安定した学習となりますが、計算リソースを効率的に使用できない可能性があります。 |
エポック数 | トレーニングデータを何回繰り返して学習させるかを指定します。訓練データに対して十分に学習されるまでエポック数を増やすことが一般的ですが、過学習にも注意を必要とします。 |
重みの初期化 | ニューラルネットワークの重みをどのように初期化するかは性能に影響を与えることがあります。様々な初期化手法が存在し、選択が重要です。 |
正則化項 | モデルの過学習を防ぐために使用されます。L1正則化やL2正則化などがあり、正則化項の重みを調整することがハイパーパラメータとなります。 |
ドロップアウト率 | モデルの訓練中にランダムに一部のニューロンを無効にする手法です。ドロップアウト率は、どれだけの割合のニューロンを無効にするかを指定します。 |
5.トレーニング
設計されたモデルをデータセットでトレーニングします。ChatGPTの場合、大規模なデータセットと強力な計算リソースを必要とします。
学習モデルと検索機能を活用した研究内容の取得
学習モデルと検索機能を活用した研究内容の取得を行いましょう。
ChatGPTの持つ豊富な情報に基づいて応答する能力を活用して、特定のトピックやキーワードから関連する論文や研究を見つけます。これにより、研究の進行中や問題の理解において追加の知見を得ることが可能です。
学術データベースやオンラインライブラリ、専門の論文検索エンジンを使用して、関連する論文や研究を検索します。ChatGPTが特定の質問に回答できない場合でも、外部の情報源を利用して必要な情報の収集ができます。
その際は、検索精度の向上のために、具体的なキーワードや専門用語を適切に組み合わせましょう。これによりChatGPTに対する検索クエリの最適化が行えるため、必要な情報の取得が可能となります。
参考:
学術情報検索(日本語) – LibGuides at Waseda University
言語モデルを使った英語翻訳と自然な表現の生成
次に、言語モデルを使った翻訳と自然な表現の生成を行います。
1.データの収集
ChatGPTをトレーニングするために、多くの言語ペアに対する翻訳データが必要です。これには、ソース言語とターゲット言語文のペアが含まれます。翻訳に関する多様な表現やコンテキストを含むデータが良い結果を得るためにこのデータは重要な要素です。
言語翻訳におけるソース言語とターゲット言語は以下のような意味です。
用語 | 説明 |
ソース言語 | 翻訳の出発点となる言語を指します。翻訳の対象となる元の文や文章が書かれている言語です。例えば、英語から日本語に翻訳する場合、英語がソース言語になります。 |
ターゲット言語 | ソース言語から翻訳される言語を指します。つまり、翻訳の結果得られる文や文章が書かれる言語です。上記の例で言えば、日本語がターゲット言語になります。 |
2.言語モデルの選択
ChatGPTは言語生成の能力を有していますが、翻訳に特化したモデルも存在します. す。適切な言語モデルを選択し、必要に応じて事前トレーニングを行いましょう。例えば、翻訳に特化したモデルには、Transformerアーキテクチャを採用したモデルがあげられます。
3.データの前処理
翻訳データをモデルが理解できる形式へと前処理を行います。ソース言語とターゲット言語の文をトークン化し、モデルへの入力に適した形式に整えましょう。
4.モデルのトレーニング
選択した言語モデルに前処理済みのデータを与えてトレーニングを行いましょう。モデルは、ソース言語の文を入力として受け取り、ターゲット言語の文を生成するように学習します。
5.評価とチューニング
トレーニング後、モデルの翻訳性能を評価します。異なる指標やテストデータを使用して、モデルの性能をチューニングしましょう。
6.Fine-tuning(微調整)
モデルが特定のタスクやドメインに適応できるよう、必要に応じてFine-tuningを行います。これにより、特定の要件や文脈に合わせた翻訳結果を生成することが可能となります。
プロンプト指示を活用した文章構造の作成と修正
最後に、プロンプト指示を活用した文章構造の作成と修正を行います。
1.プロンプトの設定
文章の作成や修正に関する具体的な指示を含むプロンプトを用意します。例えば、「次のテーマに関する説明を書いてください」「以下のアイデアを展開してください」などの、タスクに応じた具体的な指示を行うと良いでしょう。
2.文章の開始
ChatGPTにプロンプトを与え、文章の構造を作成します。プロンプトは、具体的なテーマやアイデアに関する情報を含み、ChatGPTに対して文章を開始するよう指示を行います。
3.逐次的な追加と修正
ChatGPTの応答を受けながら、必要に応じて文章を逐次的に追加・修正を行いましょう。ChatGPTは前の文脈を理解しているため、プロンプトに含まれる指示に基づいて文を生成してくれます。
4.特定の要素へのプロンプト
特定のセクションや要素に焦点を当てたい場合、ChatGPTに対して直接的にそれに関するプロンプトを与えることで、より具体的な情報を得ることができます。「メインアイデアを1文でまとめてください」や「具体的な例を挙げて説明してください」といった指示が該当します。
5.文脈の理解と修正
ChatGPTが生成した文を確認し、文脈や論理的なつながりを確認します。必要に応じて修正を行い、より自然な流れや正確な情報伝達となるようにしましょう。
6. フィードバックのループ
ChatGPTの応答に基づいて文章を修正し、再度ChatGPTにプロンプトを与えて新しい情報を得るプロセスを繰り返します。この反復を通じて、望ましい文章構造の構築を行います。
7.文章全体の確認
生成された文章全体の最終的な確認を行い、適宜微調整を行います。文章の一貫性、流れ、明確さを確保するためには総合的な確認を必要とします。
ChatGPT関連の最新研究とその影響
ChatGPT関連の最新研究とその影響について、次の3つの観点から解説します。
AI技術と学術研究の進化を支えるChatGPTの開発
ChatGPTの開発とAI技術、学術研究の進化は相互に影響し合っています。ここでは、ChatGPT開発についての流れを紹介します。
データセットと事前学習
ChatGPTは、大量のテキストデータを使用して事前学習を行います。これにより、さまざまなトピックや言語の理解が可能となるのです。AI自術の進化は、大規模なデータセットの整備や効率的な事前学習手法が研究されることによるモデルの性能向上につながっているのです。
モデルのアーキテクチャ
ChatGPTのような自然言語処理モデルでは、Transformerアーキテクチャが採用されています。そのため、Transformerの提案やその後の改良が学術研究の成果が、ChatGPTの開発に影響を与えているのです。
逆に、ChatGPTの実用的な性能向上や課題に対する改良点は、新しい研究課題や方向性となる場合があります。
自己学習と強化学習
ChatGPTの開発では自己学習や強化学習が用いられます。これらの手法やアルゴリズムの進化は、学術研究の一環として新しい手法が提案され、実践的なアプリケーションに応用されるプロセスにつながっているのです。
最新の論文から見えるChatGPTの現在と未来
ChatGPTに関連する論文について紹介します。
1.Summary of ChatGPT/GPT-4 Research and Perspective Towards the Future of Large Language Models
この論文は、ChatGPTやGPT-4に関する研究概要と大規模言語モデルの将来の展望について書かれています。
論文の基本情報
著者 | Yiheng Liu,Siyuan Ma,Yuanyuan Yang,Hao He,Mengshen He,Zihao Wu,Xiang Li,Dingang Shen,Tianle Han,Jiayue Zhang,Jiaming Tian,Antong Li,Zhengliang Liu,Dajiang Zhu,Ning Qiang,Tianming Liu,Bao Ge |
掲載雑誌名 | arXiv |
公開年 | 2023年 |
この論文では、最先端の大規模言語モデルである「ChatGPT」や「GPT-4」に関する調査とこれらを活用できる分野に関して、さまざまな可能性を追求しています。
「ChatGPT」と「GPT-4」の特徴として、事前学習や人間からの指示をベースに微調整が可能である、ユーザーからのフィードバックによるさらなる学習(RLHF)による適応数r能力・性能の向上が見込める点が特徴です。
この論文のポイントと予想可能な社会的影響について簡単にまとめました。
ポイント | ChatGPTとGPT-4の研究は、直接的な関係のある自然言語処理のみではなく、他の分野にも応用することができる。ChatGPTとGPT-4は、規模の大きい事前学習やRLHFにより、高いパフォーマンスを発揮することができる。 |
予想可能な社会的影響 | ChatGPTとGPT-4の研究が進むことにより、プライバシーの問題に対する規制やガイドラインの新設の必要性がある。医療分野や教育、科学研究において、ChatGPTとGPT-4が診断支援や質疑応答などの場面で活用されることが期待されている。 |
2.ChatGPT: A comprehensive review on background, applications, key challenges, bias, ethics, limitations and future scope
この論文は、ChatGPTの開発背景や課題、また将来の展望について書かれています。
論文の基本情報
著者 | S.S. Biswas |
掲載雑誌名 | Internet of Things and Cyber-Physical Systems |
公開年 | 2023年 |
この論文では、ChatGPTの開発や発展(進化)の過程、科学研究における役割や他の技術との統合、AIと人間の相互作用の改善について解説をしています。
また、ChatGPTは現在、顧客サービスのみではなく、医療や教育などの様々な分野で活用されていますが、倫理的な懸念や回答の精度といった課題が残っているため、注意して活用する必要があるとしています。
この論文のポイントと予想可能な社会的影響について簡単にまとめました。
ポイント | ChatGPTは、会話の文脈を維持して曖昧なクエリへの対処が行えるため、課題解決が可能である。ChatGPTは、特定タスクへのファインチューニング能力や文脈の理解といった高い性能を有している。 |
予想可能な社会的影響 | ChatGPTは、仮設生成やデータ処理といった、科学研究での活躍が期待されている。ChatGPTの利用は、様々な分野で効果性と効率性の向上が見込まれる。 |
OpenAIによるChatGPTの公開とサポート体制
OpenAIによるChatGPTの公開とサポート体制について紹介します。OpenAIはChatGPT以外にも自然言語から画像の生成や編集が可能なモデル「DALL-E」やテキストをベクトル表現に変換可能なモデル「Embedding」など様々なモデルを公開しています。公開されたモデルやサービスの特定のバージョンに関する情報は、OpenAIの公式な発表やドキュメントを確認しましょう。
ChatGPTの有料プランと無料アクセス
OpenAIには、無料版と有料版があり、それぞれで利用可能サービスが異なります。それぞれの簡単な違いは以下の通りです。
無料版 | 有料版(GPT Plus) | |
料金 | 0ドル | 月額20ドル(約2900円) |
言語モデル | GPT-3.5 | GPT-4.0強化されたGPT-3.5 |
対応言語 | 英語、日本語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、中国語など | 違いなし |
アクセスのしやすさ | 利用者数や時間帯によりつながりにくくなる | 優先アクセス権が付与される |
回答精度(パラメータ数) | 1,750億個 | 5,000億~100兆個 |
メッセージ送信上限 | 非公開 | 50回/3時間 |
APIへのアクセス
OpenAIは、ChatGPTやその他のモデルにアクセスするためのAPI (Application Programming Interface) を提供しています。これにより、開発者は自分のアプリケーションやサービスでChatGPTを利用できます。
技術的なサポート
OpenAIはユーザーに対して技術的なサポートを提供しています。ドキュメントやフォーラム、サポートチームを通じて、利用者がモデルを効果的に活用できるようサポートしています。
参考:
ChatGPT無料版と有料版の違い!8つの観点でわかりやすく解説
ChatGPT(チャットGPT)の回数制限は?無料と有料版で違う?1時間制限を解除するには?
よくある質問
ChatGPTを活用した論文執筆に関するよくある質問について紹介します。
ChatGPTで論文の要約はどうやってする?
ChatGPTを用いた論文の要約方法について解説します。ChatGPTを用いた基本的な要約方法については、難しい手順を必要としません。
- ChatGPTのアカウントを作成し、ログインをしましょう。
- ログイン後に開いたページ下部にプロンプトの入力欄があります。その欄に、次のような文章を入力します。
- 「下記の文章を要約してください」と入力し、その下に要約したい文章を入力(コピペ可)します。
- 入力欄右下の「▶︎」を押すと、ChatGPTが要約を行ってくれます。
ただし、「下記の文章を要約してください」といったシンプルなプロンプトのみでは、思うような要約を行ってくれない場合もあります。そういった際は、「下記の文章を要約してください」の後に「#条件」と入力後、条件を追加して制度を試してみましょう。
論文に使えるAIツールは?
論文執筆に使えるAIツールについて3つ紹介します。
SciSpace Copilot
SciSpace Copilotは論文読解をサポートしてくれるAIツールです。PDF形式の論文をアップロードすることで、著者や出版年といった情報の表示、対話形式による論文に関する質問の回答を行ってくれます。
また、論文全体や一部分の要約、数式や画像の解説なども可能です。
参考:SciSpace: Do hours of research in minutes
Consensus
Consensusは、世界中の論文を検索し、質問の回答や要約を行ってくれるAIツールです。引用回数が多い研究やレビュー研究といった、特に重要な研究を優先的に紹介してくれます。
論文テーマの設定や問題設定、初歩段階の文献収集の際に役に立つツールと言えるでしょう。
参考:Consensus
Elicit
Elicitは、論文の引用を活用し、回答の生成を行ってくれる文献検索ツールです。論文のURLを入力することで、関連する論文や回答をしてくれます。また、論文の要約や特定クエリに対する回答も可能です。
参考:Elicit
Discussionには何を書くべきですか?
論文の「Discussion」セクションは、研究結果の解釈や論文全体の重要な洞察を提供する場所です。以下は、「Discussion」セクションに含めるべき一般的な要素です。
1.研究結果の解釈
手に入れたデータや実施した実験の結果の解釈をします。
予想された結果が得られた場合、その理由や意義を詳細に説明しましょう。仮に、予測との不一致があればその理由や可能な説明の考察を行います。。
2.先行研究との比較
他の関連研究との比較を行い、結果の一致や不一致について述べます。
他の研究との類似点や相違点を強調し、結果の新規性や独自性を示しましょう。
3.制約と限界
研究の制約や限界について正直に説明します。
どのような制約があったか、実験の設計やデータの収集においてどのような困難があったかを述べます。
4.提案される未来の研究方向
現在の研究から得られた知見に基づいて、今後の研究方向や発展の可能性について提案します。未解決の問いや追加の実験、調査が必要と思われる領域を指摘しましょう。
5.実用的な応用と意義
研究の結果が実際の応用や現場での利用にどのように貢献するかについて考察します。
論文の研究が社会や産業においてどのような影響を持つかを強調しましょう。
6.他の研究者への提言
同じ分野の他の研究者に向けて、今後の研究やアプローチに関する提案や助言を述べます。
以上のような要素を組み合わせ、明確で論理的な議論を構築することで、「Discussion」セクションは読者に研究の意義や広がりを理解してもらうことができるのです。
まとめ
今回は、ChatGPTを論文執筆に活用した場合の利点や具体的な活用方法について紹介しました。
ChatGPTが登場したことにより、AI技術は活用シーンがより豊富になりました。
論文執筆において、「文献調査の効率向上」「論文の要約や必要な上納の抽出」「アウトラインや初稿の作成」などにChatGPTを任せることができます。
この機会に、ChatGPTを論文執筆に活用することを検討してみてはいかがでしょうか。
ChatGPT論文に関する重要用語
用語 | 説明 |
ChatGPT | OpenAIが開発した自然言語処理(NLP)モデルの一つで、GPTアーキテクチャに基づいています。対話型のタスクに特化しており、ユーザーとの対話に基づいて文章を生成することができます。 |
OA/Non-OA | OAとは、オープンアクセス(Open Access)の頭文字からとった言葉です。インターネット上に論文を公開し、無料で誰でもアクセス可能なジャーナルのことを指します。Non-OAはアクセスに一定の制限や課金の必要があるジャーナルのことを指します。 |
アーキテクチャ | IT分野におけるアーキテクチャは多くの場合、コンピューターやシステム、ソフトウェアやそれらの構成要素における基本設計や設計思想、共通仕様などを指します。 |
Transformerアーキテクチャ | 深層学習モデルの一種で、主に自然言語処理(NLP)タスクにおいて優れた性能を発揮するために開発されました。 |
プロンプト | 特定のタスクやコンピュータープログラムに対してユーザーが与える指示や要求のことを指します。これは、特に対話型なシステムやコンピュータープログラムにおいて、ユーザーが行いたい操作や質問を伝えるためのテキストやコマンドとして使用されます。 |
トークン | ChatGPTはトークンベースのモデルであり、テキストをトークンと呼ばれる小さな単位に分割して処理します。トークンは通常、単語、句読点、空白などの言語的な要素です。GPT-3およびその他のGPTモデルでは、トークンの単位はサブワード(subword)と呼ばれ、言葉の一部がさらに細かい部分に分割されることがあります。 |
API | API(Application Programming Interface)は、ソフトウェアアプリケーション同士が情報をやり取りするためのインターフェースを提供する仕組みです。OpenAIのGPT-3に関連するAPIは、外部の開発者やアプリケーションがGPT-3を利用するためのプログラムインターフェースを指します。 |